だって あたし もう おかあさんだから

まだムスメが小さかった頃

なぜか友人たちはマッサージを学んでいて

招かれた友人宅でマッサージしてもらったことがあった

 

それまでの数年来、結婚する前もしてからも

私には友だちが本当にいなくて

夫以外の人にそんなふうに優しく労ってもらったことがなくて

揉みほぐされながら なんか涙でた

 

私自身はと言えば 人を癒すことにはとんと興味がなく

どうしてこんなに冷たい人間なのか?と思ったりもして

 

でも よく考えたら 私もういっぱいやってきたんだった

いつも疲れている母を 頭の先からつま先まで

1時間でも2時間でもかけて よくマッサージしたものだった

それは幼い頃から成人するまで続いたけど

 

結婚してからはそんな機会もなく 母にはよく

「昔はあんなにやってくれたのに」とぼやかれたっけね

でももう その頃には 母には触れたくもなくて

 

だから母が亡くなってからというもの もっとマッサージしてあげれば

よかったって悔やんでみたりもしたけれど

母はもう 揉みほぐさなきゃいけないような重い身体からは

とうに解放されていたんだった

 

だったら もういいじゃん私

癒してあげなきゃいけない母は もういないんだから

母を癒してあげる優しい娘っていう演目は もう終わったんだ

 

だって あたし もう おかあさんだから

 

私を癒すのは 私がやるの

 

だって 私 もう わたしだから